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約64億光年彼方の銀河団のガス

Posted by moonrainbow on 08.2019 銀河団   0 comments   0 trackback
理論予測より少なかった、64億光年彼方の銀河団の冷えたガス

ブラックホールが存在する銀河団コアの想像図
ブラックホールが存在する銀河団コアの想像図。冷却された低温ガスが観測で確認されていない理由の1つとして、ブラックホールが加熱源となって銀河団コアの冷却を妨げている可能性が考えられている(提供:JAXA)

惑星分光観測衛星「ひさき」による約64億光年彼方の銀河団の観測から、中程度の温度のガスが理論予測よりも少ないことが明らかになりました。銀河団中心部のガスが数千万度以上の高温をどのように維持しているのかを知る手がかりとなるいます

100以上の銀河の集まりである「銀河団」は宇宙最大の天体です。その中心部(銀河団コア)には大量のダークマターの重力で集まった数千万度以上の高温ガスが存在し、非常に強いX線を発しています。理論的にはこうしたガスは強い放射によりエネルギーを失って急速に冷えるはずですが、冷却された低温ガスはこれまで観測されていない。つまり、銀河団コアで高温が維持されていることになります。

高温維持の理由を明らかにするには、様々な温度のガスを観測して温度分布を明らかにする必要があります。また、観測結果を整合的に説明できる仮説をたて、観測的に検証することも必要です。

米・ケンタッキー大学の蘇媛媛さんたちの国際研究チームは、銀河団コアのガスのうちあまり研究例がなかった「中温ガス」(数万度~数十万度という中程度の温度のガス)を調べました。中温ガスの量を測定すれば、高温ガスがどのくらい冷却されているのかが明らかになり、高温維持のメカニズムを知る手がかりが得られます。

研究では、中温ガスを観測するための最良の方法として中性のヘリウムが発する波長58.4nmの輝線に着目した。銀河団から発せられた58.4nmの光は、宇宙膨張によるドップラー効果で波長が約99.3nmにまで引き伸ばされ、中性水素ガスに妨げられずに観測することができる。ただし、極端紫外線と呼ばれるこの波長域の光は地球大気に吸収されるので、宇宙からでないと観測できないのです。

研究チームは、惑星分光観測衛星「ひさき」の極端紫外線観測装置を利用して約64億光年彼方の銀河団「RCS2 J232727.6-020437」の中性ヘリウムが発する輝線を探索したが、検出されなかった。以前のX線観測から、この銀河団コアの高温ガスが放射冷却すると1年あたり太陽数百個分の質量の低温ガスが生成されると見積もられていたが、それに見合う量が存在しなかったのです。

この結果は、高温ガスの冷却効率が理論予測よりも悪いか、冷却を妨げるメカニズムが働いている、あるいは何らかの加熱源によってガスが暖められていることを示唆しています。

今後、銀河団中心部のガスの状態やふるまいに関する研究をさらに進め、銀河団コアの高温状態を生み出すメカニズムを明らかにすることが期待されます


2019年9月4日
AstroArtsより

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