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無人探査機「ボイジャー2号」が到達した星間空間

Posted by moonrainbow on 13.2019 宇宙への旅   0 comments   0 trackback
無人探査機「ボイジャー2号」が到達した星間空間との境界とは

太陽圏(Heliosphere)の模式図
太陽圏(Heliosphere)の模式図。青が末端衝撃波面(Termination Shock)、水色の縁がヘリオポーズ(Heliopause)、その間にある領域がヘリオシース(Heliosheath)(Credit: NASA/JPL-Caltech)

NASAの無人探査機「ボイジャー2号」の観測データを用いた論文5本が、2019年11月4日付で「Nature Astronomy」に掲載されました。史上2番目に「星間空間」に到達したボイジャー2号のデータから、太陽圏と星間空間の境界がどのような様子なのか、新たな知識がもたらされています

■ボイジャーが越えたのは、星々の世界へ向かう途中に存在する「境界」

太陽から日々放出されている太陽風(プラズマ)は、惑星の軌道を超えて外側へと広がっていき、星間物質(星々の間に広がる星間空間にあるガスや塵)に衝突して速度を落とします。衝突後の太陽風は減速しつつも徐々に広がり続け、やがて星間物質と混ざり合う境界面に達します。

太陽風が星間物質と衝突して速度が落ち始める場所は「終端衝撃波面(Termination Shock、末端衝撃波面とも)」、太陽風と星間物質が混ざり合う境界面は「ヘリオポーズ(Heliopause)」、内側の終端衝撃波面から外側のヘリオポーズの間にある厚みを持った領域は「ヘリオシース(Heliosheath)」と呼ばれています。

2018年11月、ボイジャー2号は外側の境界面であるヘリオポーズを通過しました。太陽風の影響が及ぶ限界であるヘリオポーズから内側は「太陽圏(Heliosphere)」と呼ばれており、2012年に通過したボイジャー1号に続き、ボイジャー2号は太陽圏を離脱した2番目の探査機となったのです


■2機の通過した場所の違いや時間差も重要

星間空間に達した「ボイジャー」の想像図(
星間空間に達した「ボイジャー」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

今回発表された一連の論文では、初めてヘリオポーズを通過したボイジャー1号に加えて、6年遅れで通過したボイジャー2号のデータが重用されています。たとえば、両機が時間差を置いてヘリオポーズを通過したことで、太陽圏外縁のダイナミックな姿が見えてきました。

ボイジャー1号は太陽から121.6天文単位のところでヘリオポーズを通過しましたが、ボイジャー2号はやや近い119天文単位で通過しています。11年周期で変化する太陽の活動レベルに合わせてヘリオポーズも膨らんだり縮んだりすると考えられてきましたが、2機が通過した際の距離の違いは、こうした太陽活動の変化による膨張・収縮が6年の時間差によって実際に観測されたものとみられています。

両機は飛行する方向も異なっています。太陽圏を船にたとえると、ボイジャー1号は舳先(前方)に、ボイジャー2号はやや舷側(側面)に向かって通過したため、時間差に加えて場所によっても異なるヘリオポーズの様子が判明しています。

ボイジャー2号の観測データを調べたところ、ヘリオポーズを通過したあとで、太陽圏の内部から星間空間に向かって流れ出る粒子が捉えられました。このような粒子の漏出はボイジャー1号では観測されていなかったといいます。

また、ボイジャー1号ではヘリオポーズを越える直前に、粒子の速度がほとんどゼロになる領域を通過しました。ボイジャー2号ではこうした領域は観測されていませんが、かわりにヘリオポーズに近いヘリオシースの内部に複数の境界が存在することが確認されており、ヘリオポーズの複雑さが示唆されています。

ただ、両機の観測結果は異なるものばかりではありませんでした。2012年に星間空間へと到達したボイジャー1号は、少なくともヘリオポーズを越えた直後の星間空間では、磁場の向きが太陽圏内部とほとんど変わらないことを検出しました。2018年に通過したボイジャー2号の観測結果も同様で、やはり磁場の向きはほぼ揃っていました。

磁場が揃っているのは偶然なのか、それとも太陽圏周囲の星間空間全体に対して言えることなのかは、通過した場所もタイミングも異なるボイジャー1号と2号の観測結果が揃うことで、ようやく判断できたのです


■ボイジャーからの声が届くのも、あと5年くらい

ボイジャー2号打ち上げの様子
1977年8月、ボイジャー2号打ち上げの様子(Credit: NASA/JPL-Caltech)

1977年に打ち上げられたボイジャー1号と2号は、すでに42年間も稼働し続けています。両機は電力源として太陽電池ではなく、放射性物質が崩壊するときの熱から電気を得るための装置「放射性同位体熱電気転換器(RTG)」を搭載していますが、その発電量は打ち上げ当初の6割ほどにまで落ち込んでいます。

想定より冷え込んだ環境でも稼働し続ける観測装置、37年ぶりでも点火する姿勢制御スラスターなど頑丈さが目立つボイジャーですが、NASA・ジェット推進研究所(JPL)の元所長であるEdward Stone氏(カリフォルニア工科大学物理学教授)によると、生きた探査機としてボイジャーに残された時間は5年ほどとみられています。

それでも、2機の探査機にはあと数年間ほど星間空間の観測データを取得し続けるチャンスがありますし、太陽圏のふるまいが完全に解明されたわけでもありません。たとえば両機がヘリオポーズを通過した際の距離について、NASA・ゴダード宇宙飛行センターのLeonard Burlaga氏は「(太陽の活動レベルに左右されるとする)理論通りなら差が生じると思われる」と語っており、実際に観測された距離の差は小さすぎることを示唆しています。

太陽圏の外縁から星間空間にかけては、ボイジャー1号と2号が到達したことで初めて直接観測できるようになった領域です。両機は地球に通信を送り返すことができる最後の瞬間まで、貴重な観測データをもたらし続けてくれるでしょう


Image Credit: NASA/JPL-Caltech

2019/11/7
Soraeより

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